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【憲法・行政・規制対応】入札参加資格が制限される「不正な行為」の意義

2024.09.02

不正な業者に対する入札参加資格制限処分は、「国家を当事者とする契約に関する法律」（以下「国家契約法」といいます。）に根拠を置いています。国家契約は、競争入札が原則とされています。入札参加資格を制限されると、営業活動に大きな不利益を受けることになり、制裁処分が適法かどうかついて争いが頻繁に発生します。 
 
国家契約法27条1項1号から9号は、処分の事由を定めています。1号は、「契約を履行する際に不実・粗雑又は不当にし、又は不正な行為をした者」に対して2年以内の範囲で入札参加資格を制限する条項であり、同法施行令76条4項によりその基準が具体化されます。制限の期間は、国家契約法27条1項各号に該当する行為ごとに、不実罰点、瑕疵比率、不正行為の類型、故意・過失の有無、賄賂の額及び国家に損害を与えた程度などを考慮して、国家契約法施行規則（企画財政部令）で定められています。 
 
国家契約法施行規則別表「不正当業者の入札参加資格制限基準」（以下「個別基準」といいます。）により、内容がさらに細分化されます。国家契約法27条1項1号に違反した者のうち、「不実施工又は不実設計・監理をした者」に対しては、不実罰点に応じて2ヶ月から2年、「契約の履行を粗雑にした者」に対しては、報酬比率に応じて3ヶ月から2年の制裁期間が定められています。「契約の履行を不当にし、又は契約を履行する際に不正な行為をした者」は、3ヶ月から1年の制裁を受けることになりますが、そのうち、規格書と異なり、構造物の耐久年数を短縮し、安全性の危害をもたらすなど不当な製造をした者に対しては1年、規格書上の基準規格より低い他の材料を使うなど不正な製造をした者に対しては6ヶ月、不当又は不正な製造に対して監理業務を誠実に行わなかった者に対しては3ヶ月の制裁期間が定められています。 
 
一方、「不正な行為」の意味について明示的な規定を設けられていないため、その解釈を巡って議論がおきています。  
 
大法院（最高裁に相当）は、国家契約法27条1項1号の「不正な行為」の解釈及び行政処分の適法性証明責任に関する法理を誤解したことを理由に、原審判決を破棄しました（大法院2024年6月27日宣告2024ドゥ32393判決）。同判決は、入札参加資格が制限される「不正な行為をした者」の意味をより明確にしました。 
 
原告（運動服製造業者）は、被告（防衛事業庁長）と陸軍の運動服を製造・納品する契約を締結しました。原告は、運動服の生地が購買要求書で定めた品質基準に適合することを確認する、公認機関の試験成績書を提出しました。一方、原告が最終納品した運動服の完成品を対象に生地を試験した結果、一部の項目で品質基準を満たせませんでした。防衛事業庁長は、原告が「不正な製造をした者」に該当することを理由に、国家契約法、同法施行令及び同法施行規則に基づき、原告の入札参加資格を6ヶ月間制限する処分を行いました。 
 
ソウル行政法院*とソウル高等法院（高裁に相当）は、原告に対する制裁処分が適法であるとし、原告の請求と控訴を棄却しました。しかし、大法院は、被告が提出した証拠だけでは、原告が「不正な製造をした者」に該当するとみなすことは困難であるとし、原審を破棄しました。大法院は、試験結果が生地ではなく、完成品に対するものであることに着目し、原告が品質基準に適合する生地を使用したとしても、製造工程を経て品質が低下した可能性を排除することができないため、完成品の試験結果だけでは、原告が運動服を製造する際に基準規格を満たさない他の生地を使用したと断定することはできないと判断しました。 
 
これに対し、被告は、たとえ製造工程で生地の品質に変化が生じる可能性があるとしても、原告には生地の品質基準を完成品においても維持しなければならない製造・管理上の責任があるため、完成品が品質基準を満たさないという事実だけでも、処分事由が認められると主張しました。 
 
大法院は、契約履行の結果に客観的な瑕疵があるという事実だけでは、原告が契約を履行する際、社会通念上正しくない行為をしたと断定できないことを理由に、被告の主張を認めませんでした。 
 
また、被告は、原告が運動服を製造する過程において、公認機関の試験に合格した生地ではなく、品質基準に満たない他の生地を使用し、又はこれに準ずる社会通念上許容されない不正な方法を積極的に使用して物品を製造したことを証明しなければなりません。しかし、裁判所は、原告の被服類の製造過程において、原告が一般的に使用されない工程で運動服を製造するなど、他の不正行為を行ったとみなすべき事情について、被告が主張・立証していないことも併せて指摘しました。 
 
日系企業を含む海外の企業は、国際入札による政府調達契約の当事者になるなどの場面において、韓国の国家契約法が適用されることがあります。このような場合、国家契約法に関する内容を心得て、処分の対象にならないように努める必要があります。 
 
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<div style="line-height: 110%;">* 行政法院は、行政訴訟法に定められた行政事件及び他の法律により行政法院の権限に属する事件の第一審を審理する韓国の裁判所です（法院組織法40条の4）。</div>

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