最近、国際的な経済不況の余波がベトナムにも影響を及ぼして、ベトナムに投資した韓国企業の経営環境は厳しくなりつつあります。また、それだけではなく、ベトナムにおいても最低賃金が毎年上昇することからもわかるように、人件費負担が日々増加しており、環境規制など各種の規制がますます強化されるなど、各種費用の増加で経営圧迫が加重される状況におかれています。 このように、内外において厳しくなる経営環境の故、その間、低賃金を基盤とする産業に投資した韓国企業の中、業種の転換または閉業を考慮している企業が多くなっています。最近、ベトナム政府および労働組合総連盟から、賃金および税金を滞納する企業が増えていると、韓国企業の協調を要請する発言が出ているのも、この状況と関係あると考えられます。 法務法人地平志誠ハノイ事務所にも、最近、企業解散または破産手続きに関する問い合わせがかなり増えてはいますが、厳しい条件のためなのか、正式に法律諮問を求める場合はほとんど無いので、そのようなな難しい状況をどのように解決していくのかということが気になる場合が結構あります。 上記からすると、企業解散および企業更生、破産などの手続きについて簡単にでもご紹介することで厳しい状況におかれた企業へ基本的な情報を提供することに意味があると思われます。 この号では、まず企業解散について調べてみましょう。 1.企業解散の事由 経営が厳しくなり、やむを得ず企業を解散する場合、有限会社の場合は社員総会、株式会社の場合は株主総会の決意がまず必要になります。ベトナムの企業法においては、会社定款上に記載された活動期間が満了されたが延長の決定が無い場合、事業者登録証が回収された場合なども企業解散事由として定めていて、この場合も企業解散の手続きをしなければなりません。 2.清算手続き 解散事由が発生した場合、有限会社の社員総会、株式会社の理事会は企業の資産に対する清算手続きを行わなければなりません。 清算手続はまず、企業解散決定書を解散決定後7日以内に事業者登録機関と債権者、権利、義務、利益に関する人、そして職員たちに送達しなければならず、このような通知書には債権者の姓名と住所、債務額、債務弁済期間,場所、方法、債権者の提訴解決方法と期間などが含まれなければなりません。また、企業解散決定書は企業本社と支社に公告されるべきであり、法律上新聞掲載が必ず必要な場合に該当すると、企業解散決定書は少なくともひとつ以上の日刊新聞、または電子新聞に3回連続で掲載されなければなりません。 このような通報および公告の手続の通じた上、企業は賃金債務、解雇補助金、法律規定による社会保険、そして、労働組合協約および労働契約による労働者のそのほかの権利、税金債務およびその他の債務の順で弁済しなければならず、各種債務と企業解散費用をすべて弁済した後の残余財産は個人企業主、社員、株主、または会社所有主に帰属されることになります。 3.登録抹消 企業の債務を全部弁済した後7日以内に、企業の法的代理人は企業解散と関連がある書類を事業者登録機関に送付しなければなりません。 この際に提出する書類には、企業解散決定文、債権者および弁済された債務額(税金および社会保障保険金支払い明細含み、労働者リスト及び解消された滞納賃金明細、事業者登録書、法人seal, 法人Tax Code、税金を含むすべての債務が弁済され、労働者の法的利害関係が全部解消された、ということを保証する企業解散手続報告書などが含まれます。 有限会社の社員、株式会社の理事は、上記書類の真実性と正確性について責任を負わなければならず、もし、その書類に瑕疵があった場合、未弁済債務や未納税金、滞納賃金に連帯して責任を負わなければならず、その責任は上記書類が事業者登録機関に送付された日から3年がたつと消滅することになります。 事業者登録機関は企業解散関連書類を受け取った日から7日以内に事業者名簿から当該企業を削除することによって、企業解散手続が終了します。 4.解散のみなし 企業の事業者登録証が回収された場合、企業は事業者登録証が回収された日から6ヶ月以内に解散しなければならず、企業解散の手続は上記で検討したように進めればよいのです。 事業者登録証が回収された日から6ヶ月がたった後にも、依然として、事業者登録機関に関連書類を提出しなっかた場合、当該企業は解散をしたとみなされ、事業者登録機関は職権で事業者登録簿から当該企業を削除することになります。このような場合、有限会社の社員、株式会社の理事などは未弁済債権及びそのほか財政的義務について連帯責任を負うことになっています。 写真 : 法務法人 地平志誠 金柱賢(キム・ジュヒョン)弁護士(ハノイ支社長)
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