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【個人情報・データ・AI】新政権のAI政策の方向性と振興策、外国企業等への示唆点

2025.08.18

序論 
 
<div style="text-align: justify;">李在明（イ・ジェミョン）政権は、韓国を世界のAI経済で上位3か国に押し上げることを目指す国家戦略を発表しました。戦略の中核となるのは、総額100兆ウォン規模の5か年投資計画で、その内訳は国の歳出30兆ウォン、地方自治体5兆ウォン、民間部門65兆ウォンです。これは、統一的な国家方針の下でのAI開発を進め、安定したエコシステムを構築しようとする政府の強い意思を示しています。</div>
 
 
1. ガバナンス改革と戦略的計画 
 
政権は、革新を加速させ、政府中枢レベルでの戦略的な成長を促進するため、AIガバナンスの大幅な再編を実施しました。 
 
具体的には、大統領室のAI未来企画首席秘書官、科学技術情報通信部の長官および第2次官といった要職に、経験豊富なAI専門家を任命しました。これらの人事は、AI政策を行政運営に統合するとともに、スタンフォード大学の『2025 AI Index』など、国際的に著名な評価で高く認められた韓国のAI専門性を最大限に活用するという、明確かつ一貫した戦略を示しています。 
 
 
2. 人工知能の振興及び規制に関する基本法（AI基本法） 
 
韓国では、2024年12月に「人工知能の振興及び規制に関する基本法」（以下「AI基本法」）が制定され、2026年1月から全面施行される予定です。 
 
AI基本法は、AIガバナンスの法的基盤を確立し、「高影響AI（High-Impact AI）」（医療診断、公共資源配分、生体認証監視等に用いられるシステムを含みます。）と「生成AI」を区別するリスクベースの規制モデルを導入します。また、同法は、AIシステムの開発者・運用者に対し、透明性義務、安全プロトコル、監督上の要件を課しています。例えば、「高影響AI」の開発者には、リスク評価の実施や利用者保護措置の導入が求められます。 
 
科学技術情報通信部は、国家AI委員会と連携し、2025年中に、AI基本法の適用範囲や技術的要件を明確化するための詳細な施行令・施行規則を公表する見込みです。 
 
 
3. AI商用化のための公的金融手段 
 
新AI戦略の重要な柱は、AI技術の商用化とグローバル統合を加速させるための資金動員です。 
 
政府は2024年7月、AIモデル開発、自律型システム、クラウド・プラットフォーム等の戦略技術分野で事業を行う企業を支援するため、総額3.5兆ウォン規模のAI政策金融イニシアチブを開始しました。 
 
本プログラムは、平均より最大1.2％低い優遇金利を提供し、将来有望な企業に対して複数年にわたり金融面・運営面の両方で支援する、包括的な「スーパーギャップ産業（Super Gap Industries）プログラム」と緊密に連動しています。 
 
 
4. 外国人参画を促進するための査証制度改革 
 
韓国のAI・スタートアップ分野における外国人の参画を促すため、政府はソウルのグローバル・スタートアップ・センター開設に続き、2024年11月に「Startup Korea」ビザを導入しました。 
 
従来のスタートアップ関連ビザが学歴や知的財産の保有を重視していたのに対し、新たなビザは①中小ベンチャー企業部（MSS）による推薦、②法務部による最終許可、という二段階に手続を簡素化しています。 
 
この改革により、政府支援プログラムへの参加やK-Startup Grand Challengeでの上位入賞などを要件としていた従来の規制が緩和されました。 
 
新たなビザに加えて、D-8ビザは外国投資家や技術系起業家にとって有用な選択肢です。 
 
<table cellpadding="8px" style="width:100%; text-align:center; border:1px solid #bbb; border-collapse:collapse;" width="100%">
	<tbody>
		<tr>
			<th style="border: 1px solid rgb(187, 187, 187); background-color: rgb(242, 242, 242);border-top: 2px solid #cc0000; ;padding-right: 12px;" width="50%">ビザ種別</th>
			<th style="border: 1px solid rgb(187, 187, 187); background-color: rgb(242, 242, 242);border-top: 2px solid #cc0000;;padding-right: 12px;" width="50%">主な要件</th>
		</tr>
		<tr>
			<td style="border: 1px solid rgb(187, 187, 187); padding-right: 12px; padding-left: 12px; line-height: normal;" valign="top">D-8-1 
			一般投資家ビザ</td>
			<td style="border: 1px solid rgb(187, 187, 187); padding-right: 12px; padding-left: 12px; line-height: normal; text-align: justify;" valign="top">韓国法人への1億ウォン以上の投資および最低10％の持株比率が必要</td>
		</tr>
		<tr>
			<td style="border: 1px solid rgb(187, 187, 187); padding-right: 12px; padding-left: 12px; line-height: normal;" valign="top">D-8-2 
			ベンチャー企業創業者</td>
			<td style="border: 1px solid rgb(187, 187, 187); padding-right: 12px; padding-left: 12px; line-height: normal; text-align: justify;" valign="top">認定ベンチャー企業またはプレ・ベンチャー企業の創業者が対象</td>
		</tr>
		<tr>
			<td style="border: 1px solid rgb(187, 187, 187); padding-right: 12px; padding-left: 12px; line-height: normal;" valign="top">D-8-3 
			韓国人経営企業への外国投資家</td>
			<td style="border: 1px solid rgb(187, 187, 187); padding-right: 12px; padding-left: 12px; line-height: normal; text-align: justify;" valign="top">共同代表体制等の下で韓国人が運営する企業への投資家が対象</td>
		</tr>
		<tr>
			<td style="border: 1px solid rgb(187, 187, 187); padding-right: 12px; padding-left: 12px; line-height: normal;" valign="top">D-8-4 
			技術系起業家</td>
			<td style="border: 1px solid rgb(187, 187, 187); padding-right: 12px; padding-left: 12px; line-height: normal; text-align: justify;" valign="top">関連分野の学位および教育機関長の推薦状が必要</td>
		</tr>
	</tbody>
</table>

<div style="text-align: justify;"> 
 
結論 
 
現在の韓国のAI政策枠組みは、これまでの数年間にわたる計画と投資を基盤とし、法整備と実施の明確化によって裏付けられています。 
 
政府はAI基本法の下で、AIの商用化、インフラ、国際協力に対する体系的な支援を導入しました。Startup Korea特別ビザや投資家向けビザの拡充といった先行する査証・投資制度改革も既に施行されており、テック分野における外国専門人材やスタートアップの参入環境は改善されています。 
 
規制および支援制度は今後も進化が見込まれるため、韓国の拡大するAI市場に参入する外国企業・投資家は増加することが見込まれます。一方で、適切な法的助言を得ることが重要です。</div>

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