明漢錫(ミョン・ハンソク)弁護士
昨年の下半期後、金融危機によって世界経済が沈滞しています。韓国はもちろん、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジアなどの世界各地域の経済沈滞が係属しています。しかし、このような状況の中においても、中国は持続的な経済成長を続けています。全世界的にはマイナス成長率を記録すると予想される中、中国は、7~8%の経済成長が可能であるとのことです。むしろ、最近、中国当局は、インフレーションの恐れがあるとの事から、それを事前に遮断するための対策まで準備しています。このような経済成長に基づき、「G2」という新造語まで生まれるほど、中国の世界経済に及ぼす影響力は日々大きくなりつつまります。最近、ジョージ・ソロースは、中国を「肯定の力(positive force)」に比喩し、「中国は、世界経済の最近の危機から脱出できうる原動力を提供するだろう」と評価したと、7月8日(現地時間)のブルームバーグ通信が伝えました。 このような中国の成長振りは、中国の成長基盤時代た充実なものであるためでもありますが、金融危機に対する中国当局の適切で迅速な措置のためでもあると考えられます。中国は、昨年、数回にわたる金利引下げ措置を取る一方、4兆元に達する投資計画も発表しました。また、様々な不動産浮揚策も打ち出し、大規模の社会間接資本の拡充に乗り出しています。これは、世界的な経済沈滞によって輸出が減少される中において、内需拡大を通じた経済回復を図るためのものであると思われます。 こういった中国の経済成長ぶりに照らすと、韓国の対中国投資も著しく増えたものと予想されますが、筆者の経験からいうと、現在までは、むしろ、対中国投資が非常に減少しています。その原因としては、第1に、韓国企業及び金融機関の資金梗塞及び危機回避傾向によるものがあります。言い換えると、中国市場がいくら展望がよいといっても、投資主体の資金事情がよくないので投資余力がなく、投資余力があるとしても、その展望が非常によくないので投資を避けるからです。第2に、為替問題をあると思います。過去、1元に120~130ウォン程度した為替レートが、今は200ウォン台以上に達しています。言い換えると、中国の物価が上がっていなくても、同一な投資を行うためには、国内調達資金はほぼ2倍に達することになり、収益性をあわせることが容易ではないからです。とにかく、中国投資において大きな役割を果たしていた国内の金融機関は、昨年の下半期後から今年の上半期まで、ほとんど、対中国投資を行っていません(もちろん、他の投資もほとんどありませんでした)。 しかし、最近になっては、いくつかの機関から、そろそろ対中国投資を模索する姿が見えます。何より、堅実に経済が成長しており、また、これに基づいて中国元は、より、強勢になるのと予想されるからです。これと関連し、法律的な面から注意すべきいくつかの事項を考えて見ましょう。 まず、中国は、法律制度が非常に充実している国であるということです。ある事業を行おうとする場合、法的根拠がある場合とそうでない場合もあります。中国の場合、かかる法的根拠が、思ったよりも、充実しています。これが意味するのは、当該事業を行えるか否かに対し、法的欠点がないということを意味します。もちろん、これは、事業を行いやすく法律が整備されているということを意味するものではありません。また、当該事業が法令上、禁止、もしくは、制限されている場合、違法的にそのような制限を回避しようとする行為に対しても、規律することができるということを意味します。一般的に、中国をクァンシの国として、人的ネットワークがよければ、すべてのことができると思われがちですが、必ずしもそうではないというのは周知の事実です。法的根拠がなければ、いくら優れた人的ネットワークを持っていても、事業は行えません。 第2に、中国の法令は、頻繁に変動されるということです。これは、中国の立法体系の特殊性に起因するものです。韓国の場合、国民の権利や義務に影響を及ぼす事項は、国会において立法を行わなければならず、行政部は国会が具体的に委任した事項のみを規律します。従って、新しい事項や変更した状況の中で立法を行おうとする場合、ある程度の時間が要されます。しかし、中国は、そのような事項も行政部が規程できます。換言すると、中国法令の特徴は、非常に重要な事項も行政部が立法を行って規律することが可能であり、従って、迅速な立法ができるという点です。不動産関連立法をみても、2006年以後、外国人の不動産所有制限が行われてから、2007年には外資系の不動産開発会社に対する外債制限が行われました。また、最近になっては、そのような制限が緩和されました。これらは、すべてが行政部の立法を通じて行われたものであります。要するに、中国で事業を行おうとすれば、法令の制定、改正、変更に注目しなければならないということです。 第3に、地方政府ごとに、ある程度の自立性を持っているということです。これは、地方政府の立法権を通じて実現されることもありますが、法令解釈及び先例の蓄積を通じて行われることもあります。解釈の余地のある法令の場合、地方ごとに統一的に規律されることは望まれません。従って、中国で事業を行おうとすれば、当該地方において法令をどのように解釈し運営しているのかも必ず確認を取らなければなりません。
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