■ 関連リンク : 中央アジア地域の各国における担保制度Ⅰ
(写真 : 法務法人地平志誠 蔡熙錫(チェ・ヒソク)弁護士 · 李勝珉(イ・スンミン)ロシア弁護士 )
中央アジア地域の各国の中で、今回は、アゼルバイジャンの担保制度に関して調べてみます。世界最初に開発されたバクー油田をはじめとして、アゼルバイジャンは他のカスピ海沿岸国家と同様、油田を基盤とした経済構造をもっています。カスピ海の油田開発を通じたオイルドルの流入によって、アゼルバイジャンは2000年以後、GDP成長率が連続して10%を上回り、2007年人は中央アジアの国家の中で最高の経済成長率(25%)を記録しました。2008年の下半期に発生した国際経済危機の影響によってアゼルバイジャンの経済成長率も多少鈍化した状況ではありますが、原油生産量の増加や世界景気の回復によって2010年の経済成長率は、再び、二桁成長率を記録すると予想されます。
1. 土地所有権に対する抵当権設定
アゼルバイジャンの民法と抵当権法によって土地に対する抵当権を設定することができます。抵当権を設定するためには、(1)抵当権設定契約の当事者とその住所、(2)担保物及び締結地、(3)被担保債務、(4)被担保債務額、(5)被担保債務が発生した契約の当事者及び締結地、(6)担保物に対する抵当権設定者の権利、(7)担保物が登記された登記所などが明記されている抵当権設定契約の書面作成、などが必要です。また、抵当権は登記対象の権利に該当するため、これを登記所に登記しなければなりません。
関連法令上、外国人が直接土地に対する抵当権を取得することも許容されます。但し、アゼルバイジャンの民法によって、外国人が土地を所有することが禁止されるため、外国人が抵当権を実行して土地に対する所有権を取得する場合には、1年以内に該当土地を処分しなければなりません。このために、抵当権者が外国人である抵当権設定契約には、上記のような土地の強制処分に関する条項が必ず含まれなければなりません。
2. 土地賃借権に対する担保権設定
アゼルバイジャンの関連法令によって不動産賃借権に対して担保権を設定することが可能であり、11ヶ月以上の賃借権は登記が可能であるため、これに対する担保権設定も登記対象に該当します。一方、不動産賃借権に対する担保権は、不動産賃貸借機関内においてのみ設定することができ、担保権設定に対する賃貸者の同意を受けなければなりません。ただし、国有地や市有地の賃借権に対する担保権を設定するために必要な国家、あるいは、市の同意をうけることは、一般的に非常に難しいことであると考えられます。
3. 建物に対する抵当権設定
建物に対する抵当権設定に対しては、土地に対する抵当権設定と類似した規制が適用されます。土地の場合とは異なって、外国人も建物に対する所有権を取得することができるため、建物に対しては抵当権実行による売却義務を負担しないとの違いがあります。これとともに、土地に対する抵当権は、地上建物とは別途に設定することが可能である一方、建物に対する抵当権は必ず土地に対する抵当権とともに設定されなければならず、建物抵当権が実行される場合、建物の譲受人は抵当権設定者の土地に対して保有する権利のそのままの移転を受けるということに注意する必要があります。
4. その他
アゼルバイジャンの関連法令によって銀行口座に対する質権設定も可能です。実務上も、預金質権はよく利用されています。
一方、アゼルバイジャンの民法は保証に関して規定しています。保証契約は、(1)保証人、(2)債権者、(3)被保証債務の性格及び額が明記された書面をもって締結されなければなりません。法律上、保証契約には、公証を得ることを必ずしも強制しているわけではありませんが、以後の紛争を予防するためにも公証を得ることが望ましいのです。保証人は、債務者の抗弁権を援用することができ、保証債務を履行した場合、債務者に対して求償権を有します。韓国と同様、アゼルバイジャンにおいても、保証は「一般的な保証」と「連帯保証」と区分されます。一般的な保証の保証人は、いわゆる「検索・催告の抗弁権」を持つことになるため、債権者は、債務者が債務を履行しない場合に限り、保証人に対して債務の履行を請求することができます。一方、連帯保証の場合、債権者は保証人に直ちに債務の履行を請求することができます。
さらに、アゼルバイジャンの関連法令は、株式会社の株式及び有限会社の持分に対して担保権を設定することも明示的に許容しています。
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