(写真 : 法務法人地平志誠 李勝珉(イ・スンミン)ロシア弁護士)
2010年10月27日付ロシア連邦政府は、「連邦財産の民営化計画及び2011年~2013年の連邦財産民営化基本方向(以下、民営化計画)」を確定・承認し、2010年12月2日に告示しました。ロシア連邦経済開発部は、外国人投資と産業経済の主務官庁として、予算赤字を埋めつつ海外からの投資を誘致するために、本民営化計画を主導し、今回の民営化計画の実行と監督業務を管掌することになりました。民営化計画において、連邦財産の民営化は、ロシア経済が革新的な発展段階へ転換する目的を達成するための手段の一つであると明らかにされています。また、経済各部分で政府が所有管理している財産の比重を段階的に減少させることは、透明で効果的な民営化手続きを通じて達成すべきであると規定しています。 2011年~2013年度の連邦財産民営化部分における国家の主要政策は、①新技術を基盤として株式会社発展に予算外投資金を誘致するための環境造成、②民間投資家の革新イニシアティブを発展・促進するための国家経済部分の縮小、③企業運営技法の向上、④有価証券市場発展の促進、⑤ロシア経済の戦略分で統合構造の構築、⑥連邦政府の予算収入編成などです。2010年1月1日を基準として、ロシア政府は、3517箇所の連邦国営単一企業財産の所有権者であり、2950箇所の株式会社の株主です。連邦政府が株式を所有している株式会社の産業分布をみると、機械産業245箇所、軽工業11箇所、食品産業46箇所、印刷出版産業158箇所、鉄鋼産業31箇所、化学石油産業36箇所、木材産業35箇所、建設160箇所、農業397箇所、運送通信269箇所などです。また、株式保有比率を基準としてみれば、100%を保有している企業が1757箇所、50~99.00%を保有している企業が138箇所、25~49.99%を保有している企業が358箇所、そして、25%未満の株式を保有している企業が697箇所に至ります。ロシア政府は、2011年から2013年まで、連邦国営単一企業を株式会社へと転換する計画をもっています。この際にも、ロシア大統領令で戦略企業として指定された企業は除外されます。この期間中、優先的に、機械産業、農業複合産業体、交通産業、建設複合産業体等の連邦国営単一企業が民営化される予定であり、株式会社の中で優先的に戦略企業目録に編入された企業を除き、該当株式会社の総株式数の50%を超過しない範囲内で株式を売却する予定です。また、建設、農業、化学、石油化学、印刷出版産業、交通、地質、海上及び航空交通、機械産業部分の株式会社の株式を処分する予定です。このような基準によって、2011年~2013年度には、連邦国営単一企業は合計114箇所が、そして、株式会社は809箇所が売却される予定です。 民営化資産の中で最高であるといわれている売却対象は、「アパジット株式会社」、「シビリ航空」、「アルハンヘルスキートローリフロート」、「ウリャノプスキー自動車」、「ムルマンスキー漁業港湾」、「東部港湾」、「アルマズニミール」等です。このほかにも、大統領令とロシア連邦政府の個別決定によって、経済各部分において産業を主導する大企業の株式も民営化する計画です。また、この期間中、たくさんの石油企業が興味を示しているロスネフジの株式25%(-1株)、水力発展会社のルスギドロの株式7.97%(-1株)、電力網会社のFSKの株式4.11%(-1株)、造船会社のソブコムフロートの株式50%(-1株)、最大商業銀行であるスベルバンクの株式7.58%(-1株)、第2位の商業銀行の対外貿易銀行(VTB)の株式35.5%(-1株)、統合穀物会社(OZK)の株式100%(2012年まで)、ロスアグロリジングの株式50%(-1株、2013年以後)、国営鉄道会社のRZDの持分25%(-1株)などが売却予定です。例えば、第2位の商業銀行のVTBの株式35.5%の中、10%は2010年に売却し、2011年に10%、2112年には15%(-1株)を売却する予定です。このために、ロシア政府はバンクオブアメリカ、メリルリンチを諮問会社として選定して取引を進めています。対外貿易銀行を除き、大企業の株式を売却するために、ロシア政府はまた、外国系金融機関-Сredit Suisse, Deutsche Bank, JPMorgan, Merrill Lynch, Morgan Stanley, Goldman Sachsを諮問会社として選定しました。民営化計画によって、2011年~2013年度政府所有企業の民営化代金は、約1兆ルーブル(約322億ドル)を超過する見込みであり、このような民営化(大企業の株式除外)によって連邦政府の予算収入は、2011年度だけで60億ルーブルに至り、2012年、2013年には、それぞれ、約50億ルーブルの予算収入を見込んでいます。結果的に、3年間、ロシア連邦が所有している企業の民営化の結果、約160億ルーブル(約4.83億ドル)の収入が発生すると予想されるのです。これに加え、高い投資魅力を有するロシア大企業の持分売却費用まで考えると、政府予算収入は更に増加する見込みです。2010年は、韓国とロシアが修交してから20年目となります。2010年の両国間の貿易量は170億ドルを超過する見込みであり、2009年と2010年の上半期比べると、82.2%も成長しており、また、ロシアに投資した韓国資本は、合計6億ドルを超過しています。しかし、アメリカ、日本、中国などと比べると、すくないという評価もあります。
ロシアは、国家的な観点からだけではなく、韓国企業にも中長期的に意味のある結果を確保できる可能性が高い地域です。中央アジア、東ヨーロッパを含むロシア市場へ事業領域を確保するためにも、今後進められるロシア政府の民営化計画に着目することも意味のあることでしょう。ある意味では、すでにロシア市場において検証された先導企業の民営化持分を引受けることによって、より、予測可能で安定的にロシア市場へ参入できる企画を確保することも考えられるのではないのでしょうか。
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