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[企業の知っておくべき法律常識] 競争業種禁止約定

2011.10.23

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競業禁止約定とは、使用者(会社)の営業秘密を保護するために、従業員が退職後、一定期間、競合会社などに転職することを禁じるものである。最近、このような約定をめぐって、会社と個人、会社と会社間の紛争が相次いでいるが、約定効力の是非を判断することは簡単ではない。約定は、会社に有利な内容で締結される傾向がある。従業員は、会社から求められたことなので、深く考えずに、競業禁止約定に書名する場合も少なくない。 
 
従業員は、つい締結した競業禁止約定のため、他の企業で働く場合、紛争に広がるのではないかと、懸念する。しかし、企業側に一方的に有利になっている約定は、裁判所がその効力を否定することができる。 
 
判例を通じて、競業禁止約定が認められた場合をみてみよう。 
 
■高い職級・長期勤務、約定は有効 
 
約定をめぐって紛争が起きると、裁判所では主に△保護する価値のある使用者の利益 △従業員の退職する前の地位及び退職の経緯 △競業制限の期間･地域及び対象となる職種 △対象措置の如何など4つの面から判断する。 
 
最近、ソウル東部地法の判決に、保険会社の支店長が他の保険会社に転職し、紛争となった事例がある。裁判所は｢保険会社の支店長と顧客の個人的関係が、保険会社からみると、排他的に保有している営業利益とはいえない｣とし、競業禁止約定によって保護する価値が無いと判断した。支店長と顧客の関係そのものが、約定の効力の及ぶ価値ではないと判断したのだ。 
 
退職する前の職級が高く、勤務年数が長いほど、競業禁止約定が有効であると、判断される可能性が高い。使用者の重要な情報を取得する可能性が高いためだ。また、今年5月に、ソウル南部地法は、退職経緯と関連し、使用者に帰責事由があるとして、約定の効力を否定する判断を下したこともある。 
 
競業禁止約定の制限期間が長いほど、裁判所が約定の効力を否定する可能性も高い。勤労期間が長いほど、従業員の職業選択の自由が制限されるからだ。 
 
2007年3月、最高裁判所は、約定上の制限期間を含めて、総合的な要素を判断し、合理的な期間(通常、約1年)内で制限的に競業禁止約定の有効性を認めた。 
 
競業禁止約定の見返りとして、使用者が従業員に対して対象措置を取ったかいなかも重要な判断基準となる。2008年1月、ソウル中央地裁は、｢使用者が従業員に競業禁止約定を要求しながら、その見返りとしていかなる措置も取っていない｣とし、競業禁止約定の効力を認めなかった。一方、2010年7月、中央地裁は、会社が従業員に毎月一定金額(10万～25万ウォン)のセキュリティー手当の支払いと共に、退職する職員に開発部署で勤務した期間と同じ期間にわたって退職生活補助金を支払った点などから、適正な対象措置があったと間接判断したこともある。 
 
■競業禁止の際、見返りの保障が必要 
 
法務法人地平志誠のイ･クァンソン弁護士は｢企業としては、一方的に企業側に有利な内容で競業禁止約定を締結する場合、むしろ、その効力を裁判所から認めてもらえない恐れがある｣とし、｢企業は、判例に基づいて適切な基準で競業禁止約定を締結し、その見返りとして適切な対象措置を取り、｢セキュリティー措置｣、｢規定改正｣などを設け、約定した内容が営業秘密として認められるように、準備する必要がある｣とアドバイスした。 
 
さらに、イ弁護士は｢従業員も競業禁止約定の内容を正確に検討し、自分の職業選択の自由があまりにも制限される恐れがある場合、適切な内容に修正するよう、要求するなど、競業禁止約定を締結する際は、慎重に判断する必要がある｣と述べた。

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