鄭在炯(ジョン・ジェヒョン)弁護士 ・タイ事務所長
タイの外国人事業法(FBA)上、建設業、エンジニアリングなどは別表3に該当し、外国人が過半数以上の持分を所有することはできません。外国人事業許可(FBL)を別途得れば、このような制限は適用されなくなりますが、実際にFBLを得ることは事実上不可能です。また、このような制約がある場合、現地法人ではない支社の形態として進出することも難しいのです。実質的な合弁相手があるケースでなければ、通常、タイ人の名義を借り、51%の株式を所有させなければなりません。この場合、名義借用に対する諸般法的な安全措置を図ることが非常に重要であり、それなしに問題が発生した場合には、解決不可能なケースがよく発生しています。
建設業の場合、公益事業や通信設備に関する基本的な公共サービス設備の建設のための場合で、特別な装備や技術、専門性を必要としつつ、資本金を5億バーツ以上とする場合には、そのような制限は適用されず、100%外国人投資、すなわち、日本企業や韓国企業がすべての株式を所有する法人設立が可能となります。但し、タイの民商法上、株式会社の株主は3人以上でなければならないため、通常、投資企業が100%-2株を所有し、残りの2株を系列会社、支社長或いは職員に所有させます。
これと関連しタイの商務省は、タイの公共分野、国営企業、または、国営企業と契約した私企業と契約を締結し、エンジニアリング、建設、ターンキー・プロジェクト、諮問、教育、装備や機械の調達・設置・試験テストなどのサービスを提供する場合には、別途に規定を制定し、FBLを付与するようにしています。これに従い、この場合には、FBLを得てから、現地法人、又は、支社を設立して事業を遂行することができるようになります。
FBLを得るためには、いくつかの条件がありますが、公共分野、国営企業から受注する場合、事業開始のための資金として3百万バーツ以上を送金しなければならず、運営及び会計関連資料を、以後、商務省に提出しなければなりません。公共分野、国営企業と契約を行なった私企業から受注する場合には、これらに追加し、借入金は、タイへ送金した資金の7倍を超過することはできず、少なくとも1人の社員がタイに住居地をおかなければなりません。
日本や韓国の建設、エンジニアリング会社のタイ進出には、いまだに、法的な制限は存在していますが、タイの公共部門や公企業から受注する日本や韓国企業は、FBA上の制約に対して例外が認められる、これらの制度を活用する必要があると思われます。
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